
结论から言うと、ホテルのインバウンド集客が伸び悩む最大の要因は、国・地域ごとの検索行動の違いを踏まえずに施策を一括りにしていることです。本记事では訪日外国人数と宿泊需要の最新データを押さえたうえで、多言語対応やOTA施策などホテルが取り组むべき基本施策を整理します。あわせて、見落とされがちな韓国人観光客特有の検索行动や、施设規模別の優先施策の选び方まで解説します。
ホテルのインバウンド集客、なぜ成果が出にくいのか
図: 延べ宿泊者数の推移(日本人・外国人別、2026年5〜6月)(出典: 観光庁)
結論から言うと、多くのホテルが「外国人観光客全体」を一括りにした対策に留まり、国・地域ごとの検索行動の違いに踏み込めていないことが、成果が出にくい最大の要因です。
国内の宿泊需要は人口減少もあり頭打ち感があり、経営者やマーケ担当の間では「インバウンドに力を入れなければ」という危機感は共有されています。一方で、実際に着手しようとすると「多言語ページを作る」「SNSを始める」「OTAのレビュー対応を強化する」といった施策が乱立し、どれから手をつければ自館の集客につながるのか判断がつかないまま時間だけが過ぎるケースが少なくありません。
特に見落とされやすいのが、英語対応やSNS発信を整えれば訪日外国人全般に効くはずだという前提です。国・地域によって主要な情報収集チャネルは異なり、同じ導線設計がすべての客層に刺さるとは限りません。次章では訪日外国人全体の需要動向を押さえたうえで、国・地域別に見た検索行動の違いにも触れていきます。
訪日外国人需要とホテル業界のインバウンド対策の重要性
図: 主要市場別 訪日外国人数(2026年1〜3月累計)(出典: JNTO(日本政府観光局))
訪日外国人の数は月ごとに増減があるものの、全体としては拡大基調が続いています。ホテル業界にとって、この需要をどう自館の宿泊予約に結びつけるかは、国内需要の伸び悩みを補ううえでも避けて通れないテーマです。まずは直近の統計から、訪日客数と宿泊需要がどう動いているのかを具体的に見ていきます。
訪日外国人観光客数と宿泊需要の推移
日本政府観光局(JNTO)によると、2026年7月の訪日外客数は344万2,100人でした。前年同月比+0.1%とわずかな伸びながら、7月としては過去最高を記録しています。韓国やインドネシア、メキシコなど17市場も、7月としての過去最高を更新しました。台湾は単月で初めて70万人を突破しています。年初来の推移を見ても、2026年1〜3月の訪日外国人数累計は1,068万3,500人(前年同期比+1.4%)、3月単月では361万8,900人(同+3.5%)と、増加基調が続いています。
一方で宿泊側の数字は、訪日客数と同じ角度では伸びていません。観光庁の宿泊旅行統計調査によると、2026年5月の客室稼働率は61.0%、6月は56.2%でした。外国人延べ宿泊者数も5月が1,451万人泊(前年同月比-9.0%)、6月が1,251万人泊(同-11.9%)と、前年を下回る月が出ています。訪日客数の伸びが、そのまま自館の宿泊需要につながるとは限りません。「来ているが、自館には泊まっていない」層をどう取り込むかが問われている状況です。消費面では、2026年4〜6月期の訪日外国人旅行消費額は2兆5,096億円(前年同期比+0.2%)、一人当たり旅行支出は24.4万円(同+3.3%)と、客単価自体は上昇しています。
出典: 観光庁、JNTO(日本政府観光局)
国・地域別に見る訪日客の傾向、伸びる韓国人観光客市場
訪日客の内訳は、国・地域によって明暗が分かれています。JNTOの統計で2026年1〜3月の訪日外国人数累計を見ると、韓国は305万8,100人(前年同期比+22.0%)、台湾は204万1,500人(同+25.7%)と大きく伸びました。一方、中国は107万3,500人(同-54.6%)と大幅な減少です。香港は65万200人(同+0.4%)、米国は80万3,400人(同+12.1%)、豪州は34万4,700人(同+9.9%)と、それぞれ緩やかな伸びにとどまっています。
なかでも韓国は、3月単月でも79万5,600人(前年同月比+15.0%)と高い伸びを維持しています。中国依存からの脱却を模索するホテルにとって、有力な代替市場のひとつです。ただし韓国人観光客は、英語圏の客層と情報収集の経路が異なります。多言語対応やSNS発信を英語中心で整えるだけでは、この需要を十分に取り込めません。国・地域ごとにどのチャネルで情報を集めているかを踏まえた施策の使い分けが、伸びている市場を自館の集客へ着実につなげる鍵になります。
出典: JNTO(日本政府観光局)
ホテルが取り組むべきインバウンド集客施策
訪日外国人の増加を実際の予約や客室稼働率の改善につなげるには、思いつきの対応ではなく優先順位をつけた施策の積み重ねが欠かせません。ここでは、多くのホテルが着手しやすい5つの施策を、対応のしやすさとともに整理します。
| 施策 | 主な対象 | 着手のしやすさ | 効果が出るまでの目安 |
|---|---|---|---|
| 多言語対応 | 全国籍共通 | 中(初期整備が必要) | 短〜中期 |
| キャッシュレス決済の多様化 | 全国籍共通、特に中国・韓国からの客層 | 中(導入・手数料コストあり) | 中期 |
| OTA・口コミサイトの多言語露出 | 全国籍共通 | 高(既存アカウントを活用可) | 短期 |
| SNS・現地メディア発信 | 国・地域ごとに使うチャネルが異なる | 中〜高 | 中〜長期 |
| 観光案内・Wi-Fi環境の整備 | 全国籍共通 | 高 | 短期 |
自館の客層や予算に応じて、どこから手をつけるかを決めることが重要です。以下、それぞれの施策を具体的に見ていきます。
多言語対応(Webサイト・館内案内・スタッフ対応)を整える
多言語対応は「Webサイト」「館内案内・サイン」「スタッフ対応」の3層で考えると整理しやすくなります。
まずWebサイトは、予約導線とキャンセルポリシーなど重要情報だけでも多言語化すると離脱を防ぎやすくなります。全ページを翻訳する余裕がない場合は、予約に直結するページから優先するのが現実的です。
館内案内は、ピクトグラム(絵文字的な案内表示)を併用すると、翻訳が追いつかない言語の宿泊客にも情報が伝わりやすくなります。フロントに多言語対応の翻訳アプリや音声通訳サービスを常備しておけば、スタッフ全員が語学力を持っていなくても最低限の対応が可能です。
対応言語の優先順位は、英語を土台としつつ、自館の宿泊客の国籍構成に応じて中国語・韓国語などを追加する形が無理がありません。前章で触れた通り韓国からの宿泊需要は伸びているため、英語中心の対応だけでは韓国人観光客の検討段階での不安を十分に解消できない可能性があります。
キャッシュレス決済など支払い方法を多様化する
海外からの旅行者は、現金を持ち歩く習慣が薄い層も多く、支払い方法の選択肢が少ないこと自体が予約を避ける理由になり得ます。
国際ブランドのクレジットカード対応は前提として、国・地域によって主流の決済手段が異なる点も踏まえておく必要があります。中国からの旅行者はAlipayやWeChat Payなどのモバイル決済を日常的に使っており、対応の有無が滞在中の利便性を左右します。韓国からの旅行者もカード決済に加え、現地で普及しているモバイル決済アプリを利用するケースがあります。
導入には初期費用や決済手数料が発生するため、自館の主要な顧客層の国籍構成を見た上で、優先度の高い決済手段から順に検討する進め方が現実的です。
OTA・口コミサイトでの多言語露出を強化する
多くの訪日外国人は、予約前にOTA(オンライン旅行代理店)や口コミサイトの評価を確認してから宿泊先を決めます。日本語のみの口コミや説明文しかない場合、比較検討の段階で候補から外れてしまう可能性があります。
対応としては、主要なOTAの掲載情報を多言語化すること、そして口コミへの返信もできる範囲で宿泊客の言語で行うことが挙げられます。返信の丁寧さそのものが、次の宿泊客への安心材料になります。
なお韓国人観光客の場合、一般的なOTAの口コミに加えて、NAVER(韓国の検索エンジン)上のブログや掲示板の情報を参考にする傾向があります。Googleの口コミ対策だけでは韓国人観光客の検討段階には届きにくいため、どの媒体で情報収集しているかを国籍ごとに把握しておくことが、露出強化の精度を上げます。この点は本記事の後半で改めて取り上げます。
現状、自館が韓国からの検索でどう見えているか把握できていない場合は、無料のNAVER検索診断で実際の検索画面を確認してみるのも一つの方法です。
SNSや現地メディアを活用して情報発信する
SNSは旅行先を検討する段階で参照されることが多く、宿泊施設の魅力を視覚的に伝えられる手段です。ただし、どのSNSが主流かは国・地域によって異なります。
欧米豪からの旅行者はInstagramやYouTubeを中心に情報収集する一方、韓国からの旅行者はNAVERブログやカフェ(コミュニティサイト)、中国からの旅行者は小紅書(RED)やWeChatなど、現地で普及しているプラットフォームが異なります。海外向けにはInstagramだけ整えれば十分、とは言い切れない状況です。
自館だけで全チャネルに継続的に投稿するのは現実的でないため、現地メディアやインフルエンサーとの連携で発信を補う方法もあります。特に現地の生活者に近い発信者からの紹介は、広告よりも自然な形で候補先として認知されやすい傾向があります。
周辺観光情報の案内とWi-Fi環境を整備する
宿泊施設単体の魅力だけでなく、周辺エリアでどう過ごせるかも宿泊先選びに影響します。最寄り駅からのアクセス、周辺の飲食店や観光スポットを多言語で案内できると、滞在の満足度向上につながります。
Wi-Fi環境の整備も基本的な対応として欠かせません。海外の携帯回線をそのまま使えない旅行者は多く、館内Wi-Fiがないと地図アプリや翻訳アプリを使えず、周辺情報へのアクセス自体が難しくなります。
案内方法としては、紙のパンフレットに加えてQRコードから多言語ページへ誘導する形も有効です。フロントスタッフが口頭で説明する時間が取れない繁忙期でも、宿泊客自身で情報を得られる仕組みを用意しておくと負担を抑えられます。
自館だけで対応しきれる範囲か、外部の力を借りるべきかを判断しかねる場合は、無料相談で優先順位を整理することも選択肢の一つです。
見落とされがちな韓国人観光客向けインバウンド対策
図: 主要市場別 訪日者数の前年同期比伸び率(2026年1〜3月)(出典: JNTO(日本政府観光局))
多言語対応やOTA最適化、SNS発信まで一通り整えたのに、韓国人観光客の反応が薄いと感じることはないでしょうか。実はその原因は、対策の量ではなく「見ている場所」のズレにあるケースが少なくありません。英語サイトを整備し、Googleでの検索順位を気にしても、韓国人観光客の多くはそもそもGoogleで検索していないからです。この意外な検索行動の違いを理解しないまま施策を積み重ねても、来日前の検討段階で候補にすら入れてもらえない状態が続いてしまいます。
韓国人観光客の検索行動、NAVERが主戦場という現実
韓国国内の検索市場では、韓国発の検索エンジン「NAVER(ネイバー)」がGoogleを上回るシェアを持つとされています。日本のホテル業界ではGoogle検索・Googleマップでの露出を前提にインバウンド対策を組み立てるのが一般的ですが、韓国人観光客にとってはその前提自体が成立しません。つまり、Googleマップの多言語対応や英語サイトの整備をどれだけ進めても、NAVER上に情報が存在しなければ、韓国人観光客の来日前の比較検討の土俵に上がれないのです。ホテル探しの初期段階から候補漏れが起きているとすれば、集客施策の効果が頭打ちになるのも無理はありません。
NAVERブログでの情報収集習慣に対応する施策
韓国人観光客は、公式サイトや広告よりも「NAVERブログ」の体験レビューを重視して宿泊先を選ぶ傾向があります。これは日本人がSNSの口コミや比較サイトを参考にする感覚に近いものですが、決定的に違うのは情報の置き場所がNAVERブログという特定のプラットフォームに集中している点です。そのため、いくら日本語・英語のホームページを充実させても、韓国人観光客が実際に情報収集する場所には届きません。この構造に対応するには、NAVERブログ上に自館の宿泊体験を発信してもらう施策が有効です。K-ASOKUでは韓国人ブロガー独自のネットワークを活用し、ブロガーとの交渉・翻訳・進行までを代行することで、日本側の工数をほぼかけずにNAVERブログ上へ情報を蓄積していく支援を行っています。韓国人ブロガーとのやり取り・翻訳・投稿進行は、当社スタッフが日々実際に行っており、現場でのやり取りを踏まえた進行管理を強みとしています。自館がNAVER上でどう見えているか把握できていない場合は、無料のNAVER検索診断で現状を確認してみることも一つの手です。なお、韓国以外の国からの集客が主な目的の場合、K-ASOKUの支援は向いていません。その国に強みを持つ専門会社への依頼をおすすめします。

